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東京地裁での勝訴に関するご報告と、

控訴審に向けた気構えについて

 すでにご承知かと思いますが、竹田恒泰氏が私を告訴した裁判の判決が、本年2月5日に東京地裁にて言い渡されました。

 

 こちら側の主張が全面的に認められた勝訴でした。

 

 この裁判の期間中、皆様から様々な形での多大なご支援をいただき、本当にありがとうございました。改めて、深くお礼申し上げます。

 

 判決文の全文を収録したPDFは、本サイトの「裁判資料」のコーナーでダウンロードしていただけます。内容を一読されればおわかりになるかと思いますが、今回下された判決文は、曖昧なところがない、きわめて明瞭で論理的な、法理にも良識にも適う公正な内容であったと私は理解しています。

 

 「本件各ツイートが意見ないし論評の域を逸脱するか否か」という論点に関し(p.45〜)、裁判所の判断は「原告の思想を『自国優越思想』と表現することは、論評の域を逸脱するものとはいえない。」(p.46)、「原告の思想を『差別主義的』とする被告の論評は、前記(ア)で述べたところに照らして、相応の根拠を有するものであり、また、前記(イ)のとおり、原告が、元従軍慰安婦につき攻撃的・侮蔑的な発言を繰り返し、在日韓国人・朝鮮人につき、犯罪との関連を示唆したり、その排除に関する発言を繰り返していることに照らせば、これらの発言を人権侵害の観点から捉えることについても相応の根拠を有するものである。」(p.47)というものでした。

 

 また、「本件各ツイートが、いずれも原告の社会的評価を低下させるものであったとしても、公正な論評ないし意見の表明として違法性を欠くものというべきである。」(p.48)との判断も明確に示されています。

 

 この裁判の判決が出た後、代理人弁護士の佃克彦さん(日本における名誉毀損裁判の第一人者で、名誉毀損裁判に関する著書も上梓されています)と、私の法廷闘争をさまざまな面で支援して下さった内田樹さんと共に、判決内容についての記者会見を行いました。その模様は、判決要旨と共に、時事通信と東京新聞が記事にして下さいました。

 

 【差別指摘は「公正な論評」 作家の竹田氏敗訴 東京地裁】(時事)

「前沢達朗裁判長は投稿について『公正な論評で違法性を欠く』と述べ、請求を棄却した」「前沢裁判長は、竹田氏が著書で『(中華民族は)民度の低い哀れむべき方々』と記したことや、『韓国は、ゆすりたかりの名人』とツイッターに投稿したことなどに触れ、山崎氏の投稿は人権侵害や差別が広がることを懸念した公益目的があり、『相応の根拠がある』と判断した」

「同日、東京都内で会見した山崎氏は『公正な判断。著名人が公然と特定の民族を差別する今の社会は危険だ』と訴えた」(以上、記事より一部抜粋)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020501172

 

 【差別指摘投稿は「公正な論評」 名誉毀損訴訟で竹田恒泰氏敗訴<東京地裁判決>】(東京新聞)

「判決は、竹田氏が『笑えるほどたちが悪い韓国の話』と題する著書などを出したり、『韓国はゆすりたかりの名人』『韓国が慰安婦の像を作るなら、日本は嘘をつく老婆の像でも作ったらどうだ』などと投稿したことに触れ、『竹田氏が元従軍慰安婦に攻撃的・侮辱的な発言を繰り返し、在日韓国人・朝鮮人を排除する発言を繰り返していることに照らせば、発言を人権侵害の点で捉える相応の根拠がある』と指摘」「名誉侵害には当たらないと判断した」

「判決後、東京都内で記者会見した山崎氏は『公正な判断が出た。社会にはびこる民族差別に反論できるアクションになった。(国や自治体が)普段、差別的な言説を社会に拡散するような人物を招き、中高生に講演を行ったり、自衛隊の幹部候補生の前で話をさせたりすれば、差別的な主張が伝播する可能性ある』と指摘した」(以上、記事より一部抜粋)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/84338

 

 また、東京新聞のYouTubeチャンネルでは、佃さん、内田さんと私が行った記者会見のノーカット動画も公開されています。30分ほどの長さですが、ぜひご覧いただければと思います。

 

【竹田恒泰氏、ツイッターでの名誉毀損訴訟で敗訴 勝訴した山崎雅弘さんらの会見】

https://www.youtube.com/watch?v=Q9k0uDLmLAg

 

 原告の竹田恒泰氏は、この判決を不服として控訴した模様ですが、東京地裁が下した今回の判決が控訴審で覆ることはまずないのでは、と私は考えています。なぜなら、そんなことをすれば「日本は差別的言動をする者を『差別主義者』と呼んで根拠と共に批判する人間が罰せられる国」「社会から差別をなくす努力を放棄した国」ということになってしまうからです。今回の東京地裁の判決は、日本がそんな国であってはならない、という至極当然の判断であったように思います。

 

 私はこの件で人間として恥ずべきことは何もしておらず、控訴審で負ける要素も見当たらないと理解していますので、引き続き、毅然とした姿勢で対処していきます。今後も裁判の行方を見守っていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。


 

2021年2月26日 山崎雅弘

東京地裁での勝訴に関するご報告と、控訴審に向けた気構えについて
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